ご無沙汰しております。
桜も散って、心地よい春の風が吹く中、昆虫や小鳥たちも元気に活動してきたということで、我が社もエーミングについて勉強を始めました。
まず、エーミングという作業をご存じでしょうか。
エーミングは、車の安全走行において大事な役割を担う車の調整作業です。
昨今、車の安全装置には、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)などが普及しており、エーミングは自動車整備には欠かせないものとなります。エーミングの概要や作業、エーミング作業が欠かせないASV車両などについてご説明し、その様子も写真をアップしております。
エーミングとは、電子制御装置が正しく作動するための校正・調整作業です。
具体的には、レーダーセンサーや音波センサーのついた外装類の脱着や、カメラが付いたフロントガラスの交換、フレーム修正を伴う板金塗装を行ったとき先進安全装置を正しく作動させるために行う校正作業です。
国土交通省は、センサーやカメラといった電子制御装置の交換や修理を特定整備と位置付けています。
電子制御装置の整備は2020年4月1日に施行された、「道路運送車両法の一部を改正する法律案」により特定整備に定義されました。
また、特定整備を行うには「認証」が必要です。
認証とは、分解整備を行う人が一定の要件を満たしていると判断されたときに、地方運輸局が認証するものです。
このように、エーミング作業は分解整備に定義され、安全走行に重要な役割を担っています。
エーミング作業にはさまざまなツールや工具、作業環境が必要です。
エーミングターゲットとは
エーミングターゲットとは、カメラに読み込ませるための標的となります。
レーダーの音や光の波を反射させるリフレクターは、メーカー指定のツールを使う必要があり、メーカーの整備書をもとにカメラのターゲットを自作します。
なお、さまざまな車種に対応できる汎用エーミングツールもあります。
エーミングに必要な工具・作業環境について
エーミングには以下の工具が必要です。
- 水糸(車両中心をだすために下げ振りを下げる)
- デジタル角度計(バンパーなどに取り付けられたセンサーの取付角度を計測)
- レーザー距離計(対象物との距離を計測)
- 補助金具(デジタル角度計とレーザー距離計と組み合わせて使う)
- メジャー(ターゲットを置く位置を計測)
- 下げ振り(車両の前端と後端に水糸を使用して車両中心をだす)
- デジタルプロトラクター(ターゲットの向きや直角の正確さを計測)
- 水準器(作業を行う床面の水平度を確認)
- スキャンツール(外部診断機)
- ターゲット、リフレクター
- 整備書
以上のツールや工具を使うこともあり、作業環境は広々としたスペースも必要となります。
エーミングの修正・調整方法について
エーミング作業により修正や調整が必要となるのは、以下のケースがあります。
- バンパーやグリル交換
- フロントガラス交換、着脱
- ソアミラー交換、着脱
- フレーム修正を行う板金塗装
- 自動ブレーキやレーンブレーキに使われる前方をセンシングするためのカメラの取り外しや機能調整
- 自動運転装置の取り外しや作動に影響を及ぼす恐れのある整備や改造
エーミングと車検について
現在、多くの自動車のエンジンはコンピュータにより制御されています。
そのため、国土交通省は「車載式故障診断装置(OBD)」を使った車検を2024年10月1日より開始します。
OBDの利用は道路運送車両の保安基準に定める項目で、人の目には見えない不具合を検知する目的があります。
その不具合をみつけるには、法定スキャンツールや特定DTC照会アプリのインストールが必須となります。
それらのツールを使って不具合が検知された場合や、エーミングの対象作業についてエーミング作業を行っていない場合は車検不合格となります。
この車検制度の導入にあたり、エーミング作業で使用するスキャンツールの機能拡充が必須といえます。